HBsAgGi

M-HBsのO型糖鎖修飾PreS2に対するモノクローナル抗体で、DNAを含む感染性ウイルス粒子を主に認識します。
- 商品コード:RCA-001
- 包装/規格: 50μg/tube
- 該当する遺伝子型: Genotype C
- 希望販売価格: 70,000円(税抜)
HBsAgGi ELISAキット

M-HBsのO型糖鎖修飾PreS2に対するモノクローナル抗体を用いたELISAキットで、DNAを含むウイルス粒子を測定することが可能です。
- 商品コード:RCEK-001
- 包装/規格: 96 Test
- 該当する遺伝子型: Genotype C
- 希望販売価格: 100,000円(税抜)
HBsAgGiの特長:
HBsAgGiは、日本で最も感染者の多いgenotype Cに特徴的なM-HBsAg上の糖鎖依存的にHBV粒子を認識します。空粒子などに多く存在するS-HBsAgやL-HBsAgを認識しませんので、感染性粒子を効率的に認識する抗体です。
- 様々なステージの慢性B 型肝炎患者から採取した検体を、市販のマーカー(DNA PCR、RNA PCR、qHBsAg、HBcrAg)と比較することが可能です。HBsAgGi抗体を免疫沈降に用いるとHBV粒子の濃縮やHBV DNAやHBV RNAの測定に用いることができます。
- 培養上清から前臨床試験サンプルまで、幅広くHBVを含むサンプルの分析が可能です。PreS2を認識する抗体ですので、Sドメインの変異により引き起こされる従来のS-HBsAg抗体では検出されないHBVの検出に使用可能です。
参考文献
No. | 文献名 | コメント |
---|---|---|
1 | Yao B, et al. Antiviral Res. Jan 7, 2025 | 核酸アナログ治療後のHBV DNAが検出されない患者において、HBsAgGiがHBV RNAと有意に相関することが報告されました。DNA陰性患者において、HBsAgGiがHBV RNAを含む感染性粒子のマーカーとなることが示唆されました。 |
2 | Okumura T et al, Hepatol Res. Aug 20, 2024. | 新規バイオマーカーとしてのHBsAgGiの可能性が、Editorialで取り上げられました。 |
3 | Yuji I, et al. Hepatol Res. May 28, 2024 | HBV感染者232症例を対象に、HBsAgGi値が将来のHBs抗原消失の予測因子であることが報告されました。 |
4 | Ivana L et al. Pathogens 2024 Jan 3;13(1):46 | HBsAgGiが、HBV-RNAやcccDNAのサロゲートマーカーとして使える可能性がReviewで取り上げられました。 |
5 | Kozuka R, al. Hepatol Res. Feb 7, 2024. | HBV感染者112症例を対象に縦断的解析を実施、HBsAgGiとqHBsAgの比率が肝癌発症の予測因子であることが報告されました。 |
6 | Okumura T, et al. J Viral Hepat. 30: 731-739, 2023 | 通院中のHBV感染者124症例を対象にHBsAgGiを横断的に解析した試験。一部縦断的解析を実施し、癌発症との関連を示唆した初の仕事が報告されました。 |
7 | Murata A, et al. BMC Gastroenterol. 22: 270, 2022. | HBsAgGiに対するモノクローナル抗体を活用したELISAを作成(研究試薬としての「HBsAgGi ELISAキット」)し、未治療の慢性B型肝炎47症例を対象とした、核酸アナログ治療前後の血中HBsAgGi値を世界で初めて測定、発表したエポック・メイキング的な論文。ここで既にRNA粒子をキャプチャーすることも報告されました。 |
8 | Angata K, et al. Biochim Biophys Acta Gen Subj. 1866:130020, 2022. | HBsAgGiに対するモノクローナル抗体の作成および特性・活性が報告されました。 |
9 | Wagatsuma T, et al. Anal Chem. 90:10196-10203. 2018. | HBV感染性粒子に好んで発現する糖鎖構造(M-HBsのPre-S2領域のO型糖鎖=HBsAgGi)が特定され、報告されました。 |
HBsAgGi ELISAキット:
HBsAgの糖鎖異性体の測定用

M-HBsのO型糖鎖修飾PreS2に対するモノクローナル抗体を用いたELISAキットで、DNAを含むウイルス粒子を測定することが可能です。
* 当社より直接ご購入いただけます。
該当する遺伝子型: C
96 Test
商品コード: RCEK-001
希望販売価格: 100,000円 (税抜)
概要
HBsAg糖鎖異性体に対する組換えモノクローナル抗体(HBsAgGi)は、主に感染性HBV粒子に存在するM-HBs上のO型糖鎖修飾Pre-S2を特異的に認識します。すべてのHBV粒子を認識する従来のHBsAg検査と比較して、HBsAgGiで捕捉したHBV粒子は、S-HBsAg抗体で捕捉した粒子とは異なります。
HBsAgGiを用いることで、HBV DNAを含むHBV粒子を測定する新しいELISAシステムを初めて確立しました。HBV患者の血清には、感染性のHBV DNA粒子よりも非感染性のサブウイルス粒子が多く含まれていますが、感染性粒子と非感染性粒子の比率は患者ごとに異なります。従って、感染性HBV粒子の測定は、従来のHBs抗原の測定に加えて、新たな患者の病態解析に有効と考えられます。
ELISAキットの構成
HBsAgGi antibody coated plate:96 well (8-well strip x 12)
Standard M-HBsAg
Dilution Buffer
HRP-labeled HBsAgGi antibody
20X Wash Buffer
TMB Substrate
Stop Solution
HBsAgGi ELISAキットによるHBV DNA粒子の測定は3つのステップで行います
HBV DNA粒子は先ずHBsAgGi抗体によって捕捉されます(STEP1)。洗浄後、ELISA用マイクロウェルに捕捉されたHBV粒子は、さらにHRP標識HBsAgGi抗体と反応します(STEP2)。さらに洗浄後、HRP基質(TMB基質)をウェルに添加します。インキュベーション後、反応を停止し、プレートリーダーで450nmの吸光度を測定します(STEP 3)。

実施例:
標準曲線
キットに含まれるStandard M-HBsAg(800ng/mL)を連続希釈して標準M-HBsAg(6.25~400ng/mL)を調整し、標準曲線を作成します。

HBsAgGi ELISAキットを用いた血清中のHBsAgGiの測定
- テストサンプル: HBV患者血清3検体(1 µL)を1検体あたり6ウェルで測定。
- 標準M-HBsAg (6.25 – 400 ng/mL)
Sample | qHBsAg (IU/mL) | HBsAgGi (µg/mL) | CV (%) |
---|---|---|---|
Serum #1 | 2100 | 4.5 | 2.52 |
Serum #2 | 8200 | 8.92 | 2.65 |
Serum #3 | 2200 | 11.04 | 1.82 |
Safety data sheet (SDS) / ユーザーガイド
参考文献:
1. Schadler and Hildt (2009) Viruses 1:185-209.
2. Schmitt et al. (2004) J Gen Virol 85:2045-2053.
3. Dobrica et al. (2020) Cells 9:1404.
4. Wagatsuma et al. (2018) Anal Chem 90:10196-10203.
5. Angata et al. (2021) Biochim Biophys Acta Gen Subj. 1866:130020
HBsAgGi:
HBs抗原の糖鎖異性体

M-HBsのO型糖鎖修飾PreS2に対するモノクローナル抗体で、DNAを含む感染性ウイルス粒子を主に認識します。
* 当社より直接ご購入いただけます。
該当する遺伝子型: C
50μg
商品コード: RCA-001
希望販売価格: 70,000円(税抜)
概要
HBVエンベロープタンパク質は、PreS1、PreS2、Sドメインを含むHBsAg遺伝子から作られるS-、M-、L-HBsの3種類の表面抗原で構成されています1。 HBsAgsはN型糖鎖やO型糖鎖で修飾されています2,3。HBs抗原の全糖鎖構造解析の結果、M-HBsのPreS2ドメインはO型糖鎖で修飾されており、L-HBsのPreS2ドメインにはほとんど存在しないこと、O型糖鎖の修飾部位は遺伝子型C(gC)に高度に保存されていることが明らかになりました4,5.
HBsAgの糖鎖異性体に対する組換えモノクローナル抗体(HBsAgGi)は、O型糖鎖を持つPreS2糖ペプチドを用いて作製されました。HBsAgGiは、すべてのHBV粒子を認識する従来のHBsAg検査と比較して、感染性HBV粒子(DNAビリオン)を特異的に認識します。
HBsAgGi構成
⚫︎ アイソタイプ:マウスIgG1
⚫︎ 軽鎖: κ(カッパ)
⚫︎ 用量: 50μg
⚫︎ 保存方法: 短期間は4℃で保存してください。長期保存の場合は-20℃で保存し、凍結融解は避けてください。
HBsAgGiの用途
ウエスタン
HBV粒子の免疫沈降・分離
ELISA法
HBV感染阻害アッセイ
免疫組織化学
HBsAgGiは、HBV粒子中のM-HBsAgを特異的に認識します
HBVは、エンベロープタンパク質(HBsAg)、HBVコア、HBV DNAから構成されています。HBsAg遺伝子は、PreS1(青)、PreS2(赤)、S(黒)-ドメインから構成されています。S-HBsAgsの約半分はN型糖鎖で修飾され、残りには糖鎖が付いていません。M-HBsAgのPreS2ドメインは高度にO型糖鎖で修飾されていますが、同じ部位はL-HBsAgではほとんど修飾されていません。S-HBsAgは最も多く存在し、非感染性粒子は主にS-HBsAgで形成されています。それに対し、感染性HBV粒子はHBV DNAを含んだコアを内包し、すべてのHBsAgから成るエンベロープで覆われた粒子です。HBsAgGiは、遺伝子型Cに特有の O型糖鎖修飾PreS2ドメインを認識します。

HBsAgGiおよびS抗体によるHBV粒子の認識
HBV患者の血清中には、HBV DNAを含む感染性粒子よりも非感染性粒子の方がはるかに多く存在します。抗S抗体が非感染性粒子を含む全てのHBV粒子を認識するのに対し、HBsAgGiはM-HBsAgを含む感染性HBV粒子を認識するため、HBsAgGiの測定はS抗体測定とは異なるHBV患者の分類が可能と考えられます。

HBsAgGiとその他の感染性HBVを検出するためのマーカー
HBVマーカーの比較表。従来、HBV患者の状態の把握のためにはqHBsAgやHBV DNAの測定が行われてきましたが、近年ではHBcrAgやHBV RNAが患者の状態を診断する新しいマーカーとして注目されつつあります。対象となるHBVの粒子や分子は表のとおりです。〇印はターゲットとなる粒子・分子、×印はそのマーカーが認識できない、あるいは推奨できないことを表しています。
HBsAgGiは、M-HBsAgを含む粒子、例えばDNAやRNAを含むHBV粒子を検出する事ができます。

実施例

HBsAgGi(左)とPreS2抗体(右)を用いたウェスタンブロット法
- 左: HBsAgGi-gC抗体、右:抗PreS2抗体
- レーン1: S-HBsAg 50 ng
- レーン2: M-HBsAg 50 ng
- レーン3: L-HBsAg 50 ng
- 二次抗体: HRP標識抗マウスIgG

HBsAgGi-gCコートプレートとM-HBsAgを標準試料としたELISA法
- 標準物質: M-HBsAg (3.7 – 900 ng/mL)
- 被検試料: HBV患者血清(2μL)
- 血清#1: HBsAg 6610 IU/mL、HBV DNA 3.1
- 血清#2: HBsAg 8612 IU/mL、HBV DNA 0
- 血清#3: HBsAg 36600 IU/mL、HBV DNA 8.3
- 検出: ビオチン化HBsAgGi-gC抗体およびHRP標識ストレプトアビジン

HBsAgGi-gCを用いた免疫沈降法
- オリジナルサンプル(Orig): HBV患者血清(4.1 logIU/20 μL)
- IP条件: ビオチン化HBsAgGi-gC 2 μg、ストレプトアビジン結合磁気ビーズ10 μL/1 mL TBS-T、4℃、16時間
- HBV DNAの定量: 沈殿画分(IP)および上清画分(Sup)それぞれ20μLあたりのHBV DNAをreal-time PCR法により測定した。

HBsAgGi抗体による免疫染色
- 細胞:CHO-K1(親細胞株) CHO-K1+ M-HBsAg(標準分子であるgenotype CのM-HBsAgを発現する細胞株)
- 一次抗体 100倍希釈HBsAgGi抗体 1%ヤギ血清、0.2%サポニン)
- 二次抗体: 4 µg/mL AlexaFluor488抗マウスIgG抗体(1% ヤギ血清、 0.2%サポニン)
- 核染色: 10 µg/mL Hoechst 33342
M-HBsAgを発現するCHO-K1でのみHBsAgGiによる染色が観察される(左図)
参考文献:
1. Schadler and Hildt (2009) Viruses 1:185-209.
2. Schmitt et al. (2004) J Gen Virol 85:2045-2053.
3. Dobrica et al. (2020) Cells 9:1404.
4. Wagatsuma et al. (2018) Anal Chem 90:10196-10203.
5. Angata et al. (2021) Biochim Biophys Acta Gen Subj. 1866:130020