HBsAgGiの特長:
HBsAgGiは、日本で最も感染者の多いgenotype Cに特徴的なM-HBsAg上の糖鎖依存的にHBV粒子を認識します。空粒子などに多く存在するS-HBsAgやL-HBsAgを認識しませんので、感染性粒子を効率的に認識する抗体です。
参考文献
No. | 文献名 | コメント |
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1 | Okumura T et al, Hepatol Res. Aug 20, 2024. | 新規バイオマーカーとしてのHBsAgGiの可能性が、Editorialで取り上げられました。 |
2 | Yuji I, et al. Hepatol Res. May 28, 2024 | HBV感染者232症例を対象に、HBsAgGi値が将来のHBs抗原消失の予測因子であることが報告されました。 |
3 | Ivana L et al. Pathogens 2024 Jan 3;13(1):46 | HBsAgGiが、HBV-RNAやcccDNAのサロゲートマーカーとして使える可能性がReviewで取り上げられました。 |
4 | Kozuka R, al. Hepatol Res. Feb 7, 2024. | HBV感染者112症例を対象に縦断的解析を実施、HBsAgGiとqHBsAgの比率が肝癌発症の予測因子であることが報告されました。 |
5 | Okumura T, et al. J Viral Hepat. 30: 731-739, 2023 | 通院中のHBV感染者124症例を対象にHBsAgGiを横断的に解析した試験。一部縦断的解析を実施し、癌発症との関連を示唆した初の仕事が報告されました。 |
6 | Murata A, et al. BMC Gastroenterol. 22: 270, 2022. | HBsAgGiに対するモノクローナル抗体を活用したELISAを作成(研究試薬としての「HBsAgGi ELISAキット」)し、未治療の慢性B型肝炎47症例を対象とした、核酸アナログ治療前後の血中HBsAgGi値を世界で初めて測定、発表したエポック・メイキング的な論文。ここで既にRNA粒子をキャプチャーすることも報告されました。 |
7 | Angata K, et al. Biochim Biophys Acta Gen Subj. 1866:130020, 2022. | HBsAgGiに対するモノクローナル抗体の作成および特性・活性が報告されました。 |
8 | Wagatsuma T, et al. Anal Chem. 90:10196-10203. 2018. | HBV感染性粒子に好んで発現する糖鎖構造(M-HBsのPre-S2領域のO型糖鎖=HBsAgGi)が特定され、報告されました。 |
概要:
HBVエンベロープタンパク質は、PreS1、PreS2、Sドメインを含むHBsAg遺伝子から作られるS-、M-、L-HBsの3種類の表面抗原で構成されています1。 HBsAgsはN型糖鎖やO型糖鎖で修飾されています2,3。HBs抗原の全糖鎖構造解析の結果、M-HBsのPreS2ドメインはO型糖鎖で修飾されており、L-HBsのPreS2ドメインにはほとんど存在しないこと、O型糖鎖の修飾部位は遺伝子型C(gC)に高度に保存されていることが明らかになりました4,5.
HBsAgの糖鎖異性体に対する組換えモノクローナル抗体(HBsAgGi)は、O型糖鎖を持つPreS2糖ペプチドを用いて作製されました。HBsAgGiは、すべてのHBV粒子を認識する従来のHBsAg検査と比較して、感染性HBV粒子(DNAビリオン)を特異的に認識します。
アイソタイプ:マウスIgG1
軽鎖: κ(カッパ)
用量: 50μg
保存方法: 短期間は4℃で保存してください。長期保存の場合は-20℃で保存し、凍結融解は避けてください。
用途
1. ウエスタン
2. HBV粒子の免疫沈降・分離
3. ELISA法
4. HBV感染阻害アッセイ
5. 免疫組織化学
HBVは、エンベロープタンパク質(HBsAg)、HBVコア、HBV DNAから構成されています。HBsAg遺伝子は、PreS1(青)、PreS2(赤)、S(黒)-ドメインから構成されています。S-HBsAgsの約半分はN型糖鎖で修飾され、残りには糖鎖が付いていません。M-HBsAgのPreS2ドメインは高度にO型糖鎖で修飾されていますが、同じ部位はL-HBsAgではほとんど修飾されていません。S-HBsAgは最も多く存在し、非感染性粒子は主にS-HBsAgで形成されています。それに対し、感染性HBV粒子はHBV DNAを含んだコアを内包し、すべてのHBsAgから成るエンベロープで覆われた粒子です。HBsAgGiは、遺伝子型Cに特有の O型糖鎖修飾PreS2ドメインを認識します。
HBV患者の血清中には、HBV DNAを含む感染性粒子よりも非感染性粒子の方がはるかに多く存在します。抗S抗体が非感染性粒子を含む全てのHBV粒子を認識するのに対し、HBsAgGiはM-HBsAgを含む感染性HBV粒子を認識するため、HBsAgGiの測定はS抗体測定とは異なるHBV患者の分類が可能と考えられます。
HBVマーカーの比較表。従来、HBV患者の状態の把握のためにはqHBsAgやHBV DNAの測定が行われてきましたが、近年ではHBcrAgやHBV RNAが患者の状態を診断する新しいマーカーとして注目されつつあります。対象となるHBVの粒子や分子は表のとおりです。〇印はターゲットとなる粒子・分子、×印はそのマーカーが認識できない、あるいは推奨できないことを表しています。
HBsAgGiは、M-HBsAgを含む粒子、例えばDNAやRNAを含むHBV粒子を検出する事ができます。
実施例:
参考文献:
1. Schadler and Hildt (2009) Viruses 1:185-209.
2. Schmitt et al. (2004) J Gen Virol 85:2045-2053.
3. Dobrica et al. (2020) Cells 9:1404.
4. Wagatsuma et al. (2018) Anal Chem 90:10196-10203.
5. Angata et al. (2021) Biochim Biophys Acta Gen Subj. 1866:130020
希望販売価格:100,000円(税抜)
96 Test
商品コード: RCEK-001
該当する遺伝子型: Genotype C
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概要:
HBsAg糖鎖異性体に対する組換えモノクローナル抗体(HBsAgGi)は、主に感染性HBV粒子に存在するM-HBs上のO型糖鎖修飾Pre-S2を特異的に認識します。すべてのHBV粒子を認識する従来のHBsAg検査と比較して、HBsAgGiで捕捉したHBV粒子は、S-HBsAg抗体で捕捉した粒子とは異なります。
HBsAgGiを用いることで、HBV DNAを含むHBV粒子を測定する新しいELISAシステムを初めて確立しました。HBV患者の血清には、感染性のHBV DNA粒子よりも非感染性のサブウイルス粒子が多く含まれていますが、感染性粒子と非感染性粒子の比率は患者ごとに異なります。従って、感染性HBV粒子の測定は、従来のHBs抗原の測定に加えて、新たな患者の病態解析に有効と考えられます。
構成
HBsAgGi antibody coated plate:96 well (8-well strip x 12)
Standard M-HBsAg
Dilution Buffer
20X Wash Buffer
HRP-labeled HBsAgGi antibody
TMB Substrate
Stop Solution
HBV DNA粒子は先ずHBsAgGi抗体によって捕捉されます(STEP1)。洗浄後、ELISA用マイクロウェルに捕捉されたHBV粒子は、さらにHRP標識HBsAgGi抗体と反応します(STEP2)。さらに洗浄後、HRP基質(TMB基質)をウェルに添加します。インキュベーション後、反応を停止し、プレートリーダーで450nmの吸光度を測定します(STEP 3)。
実施例:
標準曲線
キットに含まれるStandard M-HbsAg(800ng/mL)を連続希釈して標準M-HBsAg(6.25~400ng/mL)を調整し、標準曲線を作成します。
Sample | qHBsAg (IU/mL) | HBsAgGi (µg/mL) | CV (%) |
---|---|---|---|
Serum #1 | 2100 | 4.5 | 2.52 |
Serum #2 | 8200 | 8.92 | 2.65 |
Serum #3 | 2200 | 11.04 | 1.82 |
References:
1. Schadler and Hildt (2009) Viruses 1:185-209.
2. Schmitt et al. (2004) J Gen Virol 85:2045-2053.
3. Dobrica et al. (2020) Cells 9:1404.
4. Wagatsuma et al. (2018) Anal Chem 90:10196-10203.
5. Angata et al. (2021) Biochim Biophys Acta Gen Subj. 1866:130020